吹き付け塗装とは?仕上げ方法による違いと減少理由
公開:2024.08.26 更新:2024.08.27
吹き付け塗装は、外壁塗装の一つの方法で、スプレーガンを用いて塗料を均一に吹き付けることで、美しい仕上がりを実現します。リシン仕上げやスタッコ仕上げ、吹き付けタイル仕上げなど、仕上げ方法によって異なる質感やデザインが楽しめる点が特徴です。
モルタル外壁の減少や技術を持つ職人の不足などの理由から、近年ではその施工が減少傾向にあります。こちらでは、吹き付け塗装の詳細や他の仕上げ方法との違い、減少している理由について解説します。
目次
吹き付け塗装とは?外壁塗装のさまざまな仕上げ方法
外壁塗装にはさまざまな方法があり、その中でも吹き付け塗装は広く知られた工法の一つです。吹き付け塗装とは何か、その特徴について解説するとともに、他の仕上げ方法についても簡単に紹介します。
◇吹き付け塗装とは
吹き付け塗装とは、スプレーガンを使用して塗料を霧状にし、外壁に均一に塗布する方法です。この工法は、広い範囲を短時間で塗装できるため、効率的な作業が可能です。また、塗料が均一に広がるため、仕上がりが美しく、ムラが少ないのも特徴です。
施工スピードが速く、複雑なデザインにも対応しやすいですが、高い技術を要するため、職人の熟練度が重要となります。
◇外壁塗装のさまざまな仕上げ方法
吹き付け塗装以外にも、外壁塗装にはさまざまな仕上げ方法があります。代表的なものとして、コテ工法とローラー工法があります。コテ工法は、コテを使って塗料を手作業で塗り広げる方法で、細かい部分や凹凸のある表面にも対応できます。
職人の手作業による繊細な仕上がりが特徴ですが、作業時間が長く、技術が求められるため、費用が高くなる傾向があります。ローラー工法は、ローラーを使用して塗料を塗布する方法で、比較的簡単に均一な仕上がりを得られるのが特徴です。
作業効率が良く、広い面積の塗装に適していますが、細かい部分には対応しにくいというデメリットがあります。これらの工法は、それぞれに適した用途や仕上がりがあるため、住宅の状況や求めるデザインに応じて選ぶことが重要です。
吹き付け塗装にも種類がある

画像出典:フォトAC
吹き付け塗装は一口に言っても、さまざまな仕上げ方法があります。どの仕上げ方法を選ぶかによって、仕上がりの質感や見た目に大きな違いが生じます。ここでは、代表的な吹き付け塗装の仕上げ方法であるリシン仕上げ、スタッコ仕上げ、吹き付けタイル仕上げについて解説します。
◇リシン仕上げ
リシン仕上げは、吹き付け塗装の中でも一般的な方法で、細かい砂粒のような質感が特徴です。塗料に砂や石を混ぜたものをスプレーガンで吹き付けることで、表面に凹凸を作り出します。
この仕上げ方法は、比較的コストが抑えられるため、広く普及しています。また、凹凸のある表面が汚れを目立ちにくくし、耐久性を高める効果もあります。ただし、リシン仕上げは一度剥がれると修復が難しいため、定期的なメンテナンスが重要です。
◇スタッコ仕上げ
スタッコ仕上げは、リシン仕上げよりもさらに粗い粒子を使用し、厚みのある塗膜を作る工法です。リシン仕上げよりも重厚感があり、耐久性も高いのが特徴です。表面が硬く、外部からの衝撃に強いため、耐久性に優れた仕上げを求める場合に適しています。
また、スタッコ仕上げは防水性が高く、雨水の浸入を防ぐ効果もあります。しかし、施工には時間がかかり、費用も高めになるため、予算と相談しながら選択する必要があります。
◇吹き付けタイル仕上げ
吹き付けタイル仕上げは、塗料にタイルのような質感を持たせたもので、仕上がりが美しいのが特徴です。この方法では、タイル状の模様やパターンを作り出すことができ、デザイン性に優れた外観を実現します。
耐久性と防水性に優れているため、外壁を保護する役割を果たしつつ、美しい仕上がりを提供します。しかし、他の吹き付け塗装に比べて施工コストが高くなる点がデメリットです。デザイン性を重視したい場合や、個性的な外観を求める場合におすすめの仕上げ方法です。
吹き付け塗装は減少している?理由を解説
かつては主流であった吹き付け塗装ですが、近年ではその施工が減少しています。ここでは、吹き付け塗装が減少している理由について解説します。
◇モルタル外壁の減少
吹き付け塗装が減少している最大の理由の一つは、モルタル外壁の使用が減少していることです。かつて、モルタル外壁は多くの住宅で採用されていましたが、現在ではサイディングボードなどの新素材が主流となり、モルタル外壁の施工自体が減少しています。
モルタル外壁は、吹き付け塗装との相性が良く、その仕上がりも美しいとされていましたが、新素材の登場により、吹き付け塗装の需要も減少しているのです。また、モルタル外壁は施工に手間がかかるため、コスト面でも不利になり、徐々に市場から姿を消しつつあります。
◇飛散や騒音の問題
吹き付け塗装は、スプレーガンで塗料を吹き付ける際に塗料が周囲に飛散しやすく、近隣への配慮が必要です。この飛散問題が、吹き付け塗装の減少を招いている要因の一つです。また、施工時には機械の騒音が発生するため、騒音問題も無視できません。
特に都市部や住宅が密集している地域では、飛散や騒音がトラブルの原因となることが多く、敬遠される傾向があります。そのため、これらの問題を回避できるローラー工法やコテ工法が選ばれることが増えているのです。
◇技術を持った職人の不足
吹き付け塗装は、熟練した技術を持つ職人が必要です。しかし、近年ではこの技術を持った職人が減少しており、結果として吹き付け塗装を行える業者が少なくなっています。また、職人の技術が不足している場合、施工不良が発生しやすく、仕上がりに差が出てしまうこともあります。
技術の継承が難しく、若い職人の育成が進まない中で、吹き付け塗装は次第に選ばれなくなっているのです。こうした背景も、吹き付け塗装が減少している理由の一つと考えられます。
こんな人には吹き付け塗装がおすすめ
吹き付け塗装が減少しているとはいえ、その特性から特定のニーズに対しては依然としておすすめの工法です。どのような人に吹き付け塗装が適しているのかを解説します。
◇時間をかけたくない場合や規模の大きな外壁塗装
吹き付け塗装は、広い面積を短時間で施工できるため、時間をかけたくない場合に非常に適しています。例えば、急いで外壁塗装を完了させたい、あるいは建物が大規模である場合など、効率的に作業を進める必要があるシーンでは吹き付け塗装が最適です。
また、塗料が均一に広がるため、大規模な建物でも仕上がりが美しく、施工時間を短縮できるというメリットがあります。さらに、コスト面でもローラー工法やコテ工法に比べて経済的である場合が多く、特に大きな建物の外壁塗装には費用対効果が高いと言えるでしょう。
◇外壁塗装で個性を出したい
外壁塗装にこだわりがある、あるいは個性的なデザインを追求したい場合にも、吹き付け塗装はおすすめです。吹き付け塗装は、塗料を細かく霧状にして吹き付けるため、独特の質感や模様を作り出すことができます。
例えば、リシン仕上げやスタッコ仕上げなど、吹き付け塗装ならではのテクスチャーを選ぶことで、外壁に独自のデザイン性を持たせることができます。これにより、他の住宅と差別化を図りたい、あるいは特別な意匠を施したいという方には、吹き付け塗装が非常に魅力的な選択肢となります。
さらに、さまざまな色合いや仕上げを選べるため、デザインの幅が広がり、自分だけのオリジナルな外観を実現することができます。
外壁塗装にはさまざまな方法があり、吹き付け塗装はその中でも広く知られる工法の一つです。スプレーガンを使用して塗料を霧状にし、均一に塗布するこの方法は、広い範囲を短時間で効率的に施工できる特徴があります。
リシン仕上げやスタッコ仕上げ、吹き付けタイル仕上げなど、異なる質感やデザインが楽しめるのも魅力です。しかし、近年ではモルタル外壁の減少や、飛散や騒音の問題、職人不足などの要因で施工が減少傾向にあります。
それでも、施工スピードやコスト面での優位性、個性的なデザインを追求したい場合には、吹き付け塗装は依然として魅力的な選択肢です。住宅の状況やニーズに応じて適切な仕上げ方法を選ぶことが重要です。
