外壁サイディングの耐久年数とは?正しいメンテナンスで寿命を延ばす方法
公開:2024.09.27 更新:2024.11.08
外壁サイディングの耐久年数は、使用する素材や環境条件によって異なりますが、一般的には約15~30年とされています。しかし、適切なメンテナンスを行うことで、その寿命を大幅に延ばすことが可能です。定期的な塗装やシーリングの打ち替えを行うことで、外壁の美観や防水性を維持し、建物全体の耐久性を保つことが可能となります。
目次
サイディングとは?種類ごとの違い
サイディングは、建物の外壁に使用される仕上げ材の一種で、耐久性やデザイン性が優れているため、多くの住宅で採用されています。サイディングにはさまざまな種類があり、それぞれの素材によって特徴やメンテナンスの必要性が異なります。
◇外壁の中でも人気の高いサイディング
サイディングは、近年日本の住宅で非常に人気が高まっている外壁材です。従来はモルタルが主流でしたが、サイディングの登場によって、その利便性やデザイン性が評価されています。
特に、工場で生産されたパネルを現場で取り付けるという「乾式工法」は、施工の手間を大幅に削減し、工期短縮が可能となりました。これにより、建築費用の抑制にもつながり、多くの住宅で採用されるようになったのです。
サイディングは、デザインのバリエーションが非常に豊富で、さまざまな色やテクスチャを選べることから、住宅の外観デザインにこだわりたい人々にも支持されています。また、耐久性に優れた素材であるため、長期にわたって外壁を美しく保つことが可能です。
これらの利点に加え、メンテナンスが比較的簡単であることから、人気の高い外壁材となっています。
◇サイディングの種類
サイディングには大きく分けて4種類あり、それぞれ異なる特徴を持っています。最も普及しているのが「窯業系サイディング」で、セメントと繊維を主原料としたもので、防火性や断熱性に優れています。
また、デザインの幅も広く、タイル調やレンガ調、木目調など多彩な選択肢があります。施工も比較的簡単で、現在の日本の住宅の約7割が窯業系サイディングを採用しています。次に「金属系サイディング」は、軽量で耐久性が高いのが特徴で、ガルバリウム鋼板などを使用し、特に寒冷地での使用に適しています。
金属というと冷たく重い印象を持たれがちですが、実際には軽量で断熱性にも優れています。また、耐久年数が長く、メンテナンスコストも低く抑えられることから、リフォームにも人気があります。
さらに、「樹脂系サイディング」は、プラスチックを主成分とした外壁材で、特に北米で広く使われています。耐久性が高く、錆びることもなく、軽量で扱いやすいというメリットがあります。ただし、日本ではまだ取り扱うメーカーが少なく、デザインのバリエーションも限られています。
最後に、「木質系サイディング」は、天然木の風合いを楽しめる外壁材で、自然素材ならではの温かみを感じさせるデザインが魅力です。しかし、木材であるため、定期的なメンテナンスが必要で、他のサイディングに比べて寿命が短い場合もあります。
塗装?張り替え?サイディングのメンテナンス

画像出典:フォトAC
定期的なメンテナンスを行うことで、外壁の美観や耐久性を維持し、家全体の寿命を延ばすことができます。また、塗装を適切なタイミングで行うことで、大規模な張り替えを防ぐことも可能です。
◇塗装のタイミングと張り替えのタイミング
外壁のサイディングは、メンテナンスの頻度が重要です。通常、塗装のタイミングは5~10年が目安とされており、特に外壁塗装が必要な状態が現れるのは、塗膜の劣化やチョーキング現象(表面の粉状化)が発生する時です。
このタイミングで適切に塗装を行うことで、サイディング材自体を長持ちさせることができます。また、サイディングの張り替えは耐用年数の約30年が目安です。外壁材のひび割れや剥がれ、さらには反りなどが目立ってきたら、張り替えを検討すべき時期といえます。
◇サイディングの張り替え作業
サイディングの張り替えは、外壁を一新し、建物全体の耐久性を大幅に改善する作業です。まず、足場の仮設から始まり、既存のサイディングを撤去します。その後、外壁下の胴縁や透湿防水シートの補修が行われ、必要であれば断熱材も交換されます。
このプロセスにより、外壁内部の劣化を防ぎ、建物全体の断熱性能や防水性能が向上します。新しいサイディング材を取り付けた後は、仕上げとしてコーキングを施し、足場を撤去して完了です。
張り替えを行うことで、外観を一新するだけでなく、建物の耐震性や耐候性も向上します。これにより、今後数十年にわたって安心して暮らせる住まいを確保することができます。
塗装と張り替えどちらが必要かの見分け方
外壁の劣化が気になり始めたとき、塗装でのメンテナンスが良いのか、それとも張り替えが必要なのか判断に迷うことがあります。外壁の状態や劣化の進行具合によって、最適な対処法は異なります。
◇耐用年数のみで判断するのは危険
サイディングのメンテナンスを検討する際、耐用年数だけで判断するのは危険です。一般的に、サイディングの耐用年数は15年から30年とされていますが、実際には周囲の環境や日々の手入れ次第で大きく変わります。
例えば、沿岸部や湿度の高い地域では、サイディングが想定以上に早く劣化することがあります。サイディングの張り替えと外壁塗装は目的が異なり、塗装は外壁を保護し美観を保つことが目的です。
一方、張り替えは下地や防水シートなど、外壁の構造自体を一新することが目的です。したがって、外観の劣化だけでなく、内部の状態も考慮した上でメンテナンス方法を選ぶことが重要です。
◇塗り替えが必要な状態
サイディングのひび割れや塗膜の剥がれは、塗り替えのサインです。特に1ミリ未満の小さなひびや、軽度の剥がれであれば、塗装で対応可能です。ひび割れが広がる前に塗装を行うことで、サイディングが持つ本来の耐久性を保ちやすくなります。
また、外壁に触れて白い粉がつくチョーキング現象や、コーキング(目地シーリング)の劣化も、塗り替えの目安です。こうした初期症状に早めに対処することで、雨水の侵入を防ぎ、さらなる劣化を未然に防ぐことができます。
ただし、ひびが大きい場合や塗膜が広範囲で剥がれている場合は、張り替えの検討も必要です。
◇張り替えが必要な状態
張り替えが必要な状態は、サイディング自体の劣化が進行している場合です。例えば、外壁が反り返っている場合や、ひび割れが1ミリ以上で深い場合は、張り替えが必要です。
また、表面が剥離してしまっている状態も張り替えの対象となります。
こうした状況では、塗装での修繕は効果が薄く、外壁材自体が水を吸収しやすくなっているため、雨漏りなどのリスクが高まります。さらに、防水シートが劣化していると、内部に雨水が侵入し、家の構造に深刻なダメージを与えることもあります。
自分で点検する際は、目で見て確認し、触ってみてサイディングの状態をしっかりと確認することが大切です。
適切なメンテナンスでサイディングの寿命を延ばす
適切なメンテナンスを施さないと、経年劣化が進み、早期の張り替えが必要になることもあります。ここでは、サイディングを長持ちさせるために重要なメンテナンスのポイントや注意点について詳しく解説します。
◇種類によって異なる寿命とメンテナンス方法
サイディングは、使用される素材によって寿命やメンテナンス方法が大きく異なります。
代表的な窯業系サイディングは、セメントと繊維から作られ、耐久性が高いことから寿命は30〜40年です。
しかし、紫外線や雨風の影響で表面の塗装が劣化するため、7〜10年ごとに再塗装やシーリングの打ち替えが必要です。
木質系サイディングは、木材ならではの風合いが魅力ですが、湿気や紫外線に弱いため、定期的な塗装や部分的な張り替えが求められます。金属系サイディングは錆が発生するリスクがあり、10〜15年ごとに塗装を行い錆を防ぐメンテナンスが必要です。
樹脂系サイディングは、塗装が不要で長期間メンテナンスが少ないのが特徴ですが、汚れや苔が付着しやすいため、定期的な水洗いを行うことが推奨されます。これらの素材ごとの特性を理解し、適切な時期に対応することで、外壁の寿命を延ばすことができます。
特に、和歌山のような沿岸地域では塩害の影響も考慮し、メンテナンスを怠らないことが重要です。
◇正しいメンテナンス方法を知ろう
サイディングの寿命を延ばすには、定期的なメンテナンスが欠かせません。特に重要なのが、外壁塗装の定期的な塗り替えです。サイディングの塗装は、外壁全体を保護するバリアの役割を果たし、紫外線や雨風から建物を守ります。
通常、窯業系サイディングであれば7〜10年ごとに再塗装が必要です。塗装の劣化を放置すると、サイディング自体が劣化し、ひび割れや反りなどが発生しやすくなります。また、シーリング部分のメンテナンスも忘れてはいけません。
サイディングの継ぎ目を埋めるシーリング材は、建物の防水性を保つ重要な要素ですが、7〜10年程度で劣化します。シーリングがひび割れたり、硬化したりした場合は、雨水の侵入を防ぐために、速やかに打ち替えや増し打ちを行いましょう。
シーリングの劣化を放置すると、雨水が建物内部に浸透し、構造体にダメージを与えかねません。さらに、日常的な掃除も外壁を長持ちさせるために有効です。特に沿岸部や雨が多い地域では、年に数回、外壁の汚れや苔を取り除くために水洗いを行うことが推奨されます。
高圧洗浄機はサイディングを傷つける恐れがあるため、ホースの水で軽く洗い流し、頑固な汚れには中性洗剤を使ってやさしく掃除しましょう。これにより、塗装やサイディング自体の劣化を防ぎ、長持ちさせることができます。
サイディングは、外壁材として耐久性やデザイン性に優れ、多くの住宅で採用されています。代表的な種類には、窯業系、金属系、樹脂系、木質系があり、それぞれに特徴やメンテナンスの違いがあります。
窯業系サイディングは防火性やデザインの多様性で人気があり、金属系は軽量で耐久性が高く、寒冷地に適しています。樹脂系はメンテナンスが少ない一方、木質系は自然の風合いが魅力ですがメンテナンスが必要です。
サイディングの寿命を延ばすためには、定期的な塗装やシーリングの打ち替えが重要です。塗装や張り替えのタイミングを見極めることで、外壁を美しく保ちながら、家の耐久性を高めることができます。
