塗料についての基本知識~外壁塗装を依頼する際も覚えておきたい水性塗料と油性塗料の違い
公開:2024.05.26 更新:2024.05.26
外壁塗装を依頼する際、塗料の基本知識を持つことが大切です。水性塗料は環境に優しく臭いが少ないため、室内向きです。一方、油性塗料は耐久性が高く、外装や家具に適していますが、乾燥時に強い臭いを発します。また、塗料にはVOC(揮発性有機化合物)が含まれ、健康や環境に影響を与える可能性があるため、選ぶ際には注意が必要です。
目次
染料の主な成分4つ
外壁塗装を依頼する際には、使用される塗料についての知識をある程度身につけておけば、長期的に満足のいく外壁塗装業者を選ぶことができます。塗料というのは、基本的に以下の4つの成分によって構成されています。
◇顔料(Pigment)
顔料は塗料の色を決める成分で、耐候性や隠ぺい力を向上させるためにも重要の役割を果たしています。顔料には「有機顔料」と「無機顔料」の2つの種類があります。有機顔料は石油などから合成されており、明るい色や鮮やかな色が特徴です。
これに対し、天然の鉱石、あるいは金属の化学反応などによって得られる無機顔料は耐久性に優れており、主に白や黒などの基本色に使用されます。
◇樹脂(Binder)
塗料の性質を决定する成分で、塗料が乾燥した後、表面に硬い塗膜を作って顔料を保持する働きがあります。樹脂にはアクリル樹脂やウレタン樹脂の他にシリコン樹脂、フッ素樹脂などいくつかの種類があり、塗料耐久性や弾力性、防水性などを決定する役割を果たしています。
◇添加剤(Additives)
塗料の性能を向上させるために使用されるのが、添加剤です。乾燥促進剤や増粘剤、消泡剤添加剤を加えることによって、乾燥時間の調整をしたり、抗菌性・耐UV性・流動性などを改善できます。
◇溶媒(Solvent)
塗料を適切な粘度に保つために使用される成分で、塗料を塗布しやすくするのが溶媒の役目です。溶剤と水の2タイプがあり、溶剤はさらに炭化水素系やアルコール系などの種類があります。
水性塗料と油性塗料の違いとVOC

画像出典先:フォトAC
塗料には主に水性塗料と油性塗料の2種類があります。水性塗料は乾燥時に水分が蒸発し、環境に優しく匂いが少ないため室内に適しています。油性塗料は乾燥時に有機溶剤が揮発し、耐久性が高いため外装や家具に向いています。また、塗料には揮発性有機化合物(VOC)が含まれており、環境や健康に影響を与えることがあります。
◇水性塗料と油性塗料の違い
塗料には水性塗料と油性塗料の2種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。水性塗料は 希釈剤に水を使用する塗料のことで、ほとんど臭いがしないのが特徴です。一般に乾燥時間が短く、取り扱いやすいというメリットがある反面、耐久性に関しては油性塗料に比べるとやや劣る場合もあります。
一方、油性塗料には希釈剤としてシンナー などの有機溶剤を使用します。耐久性に優れているのが油性塗料のメリットとはいえ、乾燥時間が長いという難点があります。さらに、塗装中に強い臭いを発するのも油性塗料の特徴です。
◇臭いやシックハウス症候群の原因の一つとなるVOC
塗料を選ぶ際に頭に入れておきたいのが、VOCの問題です。VOCというのは「Volatile Organic Compounds(揮発性有機化合物)」の略で、塗料だけではなくて接着剤などにも配合されている成分です。
VOCには刺激臭があり、シックハウス症候群の原因のひとつとみなされています。油性塗料は、水性塗料と比較するとはるかにVOC排出量が多いので、屋内の塗装には水性塗料が推奨されます。
VOCが含まれる塗料とその影響
VOCは塗料が乾燥する過程で空気中に放出され、これが環境や健康に影響を及ぼす可能性があります。特に、室内で使用される塗料に含まれるVOCは、空気の質を悪化させ、長期的には健康リスクを引き起こすことがあります。
◇有機溶剤
VOCは、塗料の乾燥や硬化を速めるために使われる溶剤や添加物の一部です。
・トルエン
・キシレン
・アセトン
・メチルエチルケトン
などといった有機溶剤に含まれる成分が、VOCに分類されています。油性塗料は水ではなくて有機溶剤を使用するため、どうしてもVOCの含有量が高くなりがちですから、注意が必要です。
◇VOCの影響
VOCは蒸散支配型で、ペンキ塗り替えの直後にシックハウス症候群の症状が急激に出る場合があります。VOCによるシックハウス症候群の症状としては、目がチカチカする、鼻や喉の痛み、頭痛、皮膚のかゆみ、あるいは倦怠感などが挙げられます。
症状がひどい場合には、呼吸器障害や吐き気、不整脈などが見られることもあります。それだけではなく、一部のVOCは発がん性があるとされており、長期的な曝露によって呼吸器疾患や神経系への悪影響を引き起こす可能性も指摘されています。
VOCは地上レベルのオゾンの前駆体となり、光化学スモッグなど、大気汚染の原因にもなりますので、取り扱いには注意しなければいけません。
VOCを避けるなら水性塗料や低VOC塗料がおすすめ
和歌山県で外壁塗装を業者に依頼する際には、シックハウス症候群のリスクを低減するため、塗料選びが重要です。特に、揮発性有機化合物(VOC)の含有量が少ない塗料を使用することが推奨されます。VOCを避けるためには、水性塗料や低VOC塗料を選ぶのが効果的です。これにより、健康リスクを減らし、環境にも優しい外壁塗装が実現できます。
◇水性塗料のVOC含有量
水性塗料は、従来の溶剤系塗料に比べて一般的にVOC含有量が低いのが特徴です。水を溶媒として使用するため、溶剤系塗料に含まれるような有機溶剤の使用が少なく、健康や環境への悪影響が軽減されます。水性塗料のVOC含有量は製品や用途によって異なりますが、
一般的な範囲としては、含有量は7%以下です。溶剤系のVOC含有量は30%〜60%ですから、水性塗料に含まれるVOCはかなり低いことが分かります。
◇低VOC塗料の基準とゼロVOC塗料
近年は、環境に優しい低VOC塗料やゼロVOC塗料なども開発されています。「VOC削減型塗料」とも呼ばれている低VOC塗料に関しては、「JPMA(一般社団法人日本塗料工業会)」が基準を設けています。
JPMAによれば、VOCが30%以下の油性塗料に対して「低VOC」の自主表示をすること、となっています。水性塗料はもともとVOCが低いため、特に表示はしないというのが同団体の見解です。
ゼロVOC塗料はVOCが全く入っていない、または1Lに5g以下の塗料のことです。ただし、ゼロVOCではあっても、VOC以外の有害物質が含まれていることがありますので、その点に留意しなければなりません。
不動産の外壁塗装を依頼する際、使用される塗料の知識を持つことは、満足のいく業者選びに役立ちます。塗料は基本的に、顔料、樹脂、添加剤、溶媒の4つの成分で構成されます。顔料は色を決め、樹脂は塗膜を作り、添加剤は性能を向上させ、溶媒は適切な粘度を保ちます。
塗料には水性塗料と油性塗料があり、水性塗料は環境に優しく室内向け、油性塗料は耐久性が高く外装向けです。VOC(揮発性有機化合物)は、塗料が乾燥する過程で空気中に放出され、健康や環境に影響を与える可能性があります。 特に、室内で使用される場合、シックハウス症候群のリスクがあります。
VOCを避けるためには、水性塗料や低VOC塗料を選ぶことが推奨されます。水性塗料はVOC含有量が低く、健康リスクを軽減し、環境にも優しいです。ゼロVOC塗料も選択肢として考えられますが、有害物質の含有に注意が必要です。これらの塗料選びにより、安全で快適な塗装を実現できます。
