エアー鉋とは?薬剤を使わずに木材の美しさと長寿命化を実現する新技術
公開:2024.07.29 更新:2025.02.28
エアー鉋は、薬剤を一切使用せずに木材の美しさと長寿命化を実現する新技術です。従来、木部再生には化学薬品を用いる方法が一般的でしたが、エアー鉋は高圧エアーを利用して木材表面の汚れや劣化部分を除去します。
この技術は、環境や健康に配慮しており、化学薬品によるリスクがないだけでなく、作業時の粉塵も最小限に抑えられるため、作業環境の改善にも寄与します。また、細かい部分や複雑な形状にも対応できるため、従来の方法では難しかった木部再生が可能です。
目次
薬剤を使わずに木部再生を可能にするエアー鉋
動画出典:岡本建装
木部の再生は、古くなった木材の美しさを取り戻し、長寿命化を図るために行われる重要な技術です。一般的には、化学薬品を用いて汚れやシミを取り除く方法が主流ですが、近年では環境や健康に配慮した技術も求められています。
環境や健康に配慮した技術の中でも、薬剤を使わずに木部再生を可能にするエアー鉋は注目すべき技術です。
◇木部再生とは
木部再生とは、経年劣化や汚れ、シミなどで傷んだ木材を再び美しく蘇らせる技術です。一般的には、化学薬品を使用する方法が用いられ、酸やアルカリ性の薬剤を使用して木材の表面に付着した汚れや変色を取り除き、元の木肌を取り戻せます。
しかし、化学薬品を使用するため、取り扱いや廃棄処理には注意が必要です。また、薬剤が木材に残留することで、健康への影響や環境への負荷が懸念される場合もあります。
◇薬剤を使わずに木部再生を可能にするエアー鉋
エアー鉋は、化学薬品を一切使用せずに木部を再生する画期的な技術です。高圧のエアーを利用して木材表面の汚れや劣化部分を吹き飛ばし、元の美しい木肌を露出させます。また、木材に直接触れることなく加工を行うため、木材の繊維を傷つけずに表面を均一に再生することが可能です。
エアー鉋の特徴は、その環境配慮と安全性にあります。薬剤を使用しないため、化学薬品による健康リスクや廃棄処理の問題が解消され、作業時に発生する粉塵も最小限に抑えられ、作業環境の改善にも寄与します。
さらに、エアー鉋は細かい部分や凹凸のある表面にも対応できるため、従来の方法では難しかった複雑な形状の木部再生も可能です。
木材が劣化する原因と影響

画像出典:岡本建装 Instagram
木材は自然素材であり、時間の経過とともに劣化します。劣化は見た目だけでなく、木材の構造や強度にも影響を及ぼし、放置すると大きな問題になりかねません。
◇木材は劣化する
新しい木材は美しい木目が特徴で、温かみのある質感が魅力です。しかし、時間が経つにつれて、その美しい木目は色あせたり、汚れやシミが目立ちます。日光、湿気、気温の変化など、環境要因が木材の劣化を促進していき、見た目が悪くなるだけでなく、構造的な強度も低下し、腐朽や虫害のリスクが増えます。
放置すると、木材の寿命が大幅に短くなるため、適切なメンテナンスが必要です。木材の劣化は、建物全体の安全性や美観にも影響を与えるため、早めの対策が求められます。
◇木材の主な汚れ
木材の劣化には、さまざまな種類の汚れが関与しています。代表的なものとして、複合汚れ、シミ、カビ汚れがあります。
複合汚れは、埃や土、油脂などが混ざり合ったもので、木材の表面に付着します。またシミは、飲み物のこぼれや雨水の浸入などが原因で木材に発生します。シミは木材内部に浸透し、簡単には取り除けません。
特に水分を含むシミは、木材の膨張や収縮を引き起こし、ひび割れや変形を引き起こします。カビ汚れは、湿気の多い環境で発生しやすく、黒や緑色の斑点として現れます。カビは健康に悪影響を及ぼすアレルゲンとなり、室内環境の質を低下させかねません。
木材の長寿命化と美しさを取り戻すエアー鉋
木材の劣化は避けられないものですが、エアー鉋という革新的な技術により、木材の長寿命化と美しさの再生が可能になりました。エアー鉋は、化学薬品を使わずに木材を蘇らせる環境に優しい方法として注目されています。
◇エアー鉋で不可能を可能に
エアー鉋は、高圧エアーを利用して木材表面の汚れや劣化部分を取り除く技術です。エアー鉋は、従来の化学薬品を用いた木部再生とは異なり、木材に優しく、環境に配慮した手法で木材の表面を均一に処理するため、微細な部分や複雑な形状の木材でも再生できます。
常若施工と呼ばれるこの技術は、木材の元の美しさを取り戻すだけでなく、その寿命を延ばすことにも寄与します。常若施工とは、エアー鉋を使用して木材を再生し、常に若々しい状態を保つという意味です。特に、文化財や歴史的建造物の保存においても、エアー鉋はその効果を発揮しています。
◇4役を1台で木材を傷めずに再生する技術
エアー鉋は、木材の再生において「払う」「削る」「剥ぐ」「粗す」という4つの役割を1台でこなすことができる優れた技術です。まず、「払う」作業では、高圧エアーを用いて木材表面の埃や微細な汚れを払うことができます。これにより、木材の表面をクリーンに保つことが可能です。
次に、「削る」作業では、木材の表面を均一に削り、劣化した部分や汚れた層を取り除きます。エアー鉋を用いた削る作業は、木材の繊維を傷つけずに行うことができるため、木材本来の強度を保ちながら再生が可能です。
また、「剥ぐ」作業では、古い塗装や表面の劣化部分を剥ぎ取ることで、新しい塗装や仕上げを施す準備を行います。最後に、「粗す」作業では、新しい塗装や仕上げがしやすいように木材の表面を適度に粗くすることが可能です。表面を粗くすることにより、塗装や仕上げの定着が良くなり、長持ちします。
エアー鉋で蘇った事例を紹介

画像出典:岡本建装株式会社
エアー鉋は、木材を美しく再生し、長寿命化を図るための革新的な技術です。エアー鉋はさまざまな場所に施工ができます。
◇エアー鉋
エアー鉋は、住宅の玄関や外壁、社寺の木部など、さまざまな場所で施工が可能です。例えば、玄関部の木部をエアー鉋で美しく蘇らせることができます。日々の出入りが頻繁な玄関も低価格かつ短期間で美しく蘇り、無垢材のような自然な木材の風合いが再現されます。
高圧エアーと微細な木質チップを噴射することで、外壁の汚れや劣化を取り除き、再塗装することで美しい外観が実現します。エアー鉋は、一般住宅から倉庫、さらには社寺の木部まで、さまざまな木材の再生に対応できる技術です。
◇エアー鉋の事例を紹介
エアー鉋の施工事例として、和歌山市の伊太祁曽神社の事例をご紹介します。伊太祁曽神社は、木の神・国土緑化の神「五十猛命(いたけるのみこと)」を祀る由緒ある神社です。
この神社の手水舎と一の鳥居横の社号碑「紀伊國一之宮 伊太祁曽神社」に対して、エアー鉋による木部再生施工が行われました。
手水舎では、80年にわたる汚れや劣化がエアー鉋によって除去され、元の美しい木肌が蘇りました。また、社号碑も同様にエアー鉋で清掃され、木材の寿命が延ばされました。
施工を担当した岡本建装株式会社は、和歌山県でエアー鉋の施工が可能な正規登録店であり、地域の文化財や住宅の木部再生に貢献しています。
エアー鉋は、薬剤を使わずに木部を再生する画期的な技術です。高圧エアーで木材表面の汚れや劣化部分を吹き飛ばし、美しい木肌を露出させます。環境や健康に配慮した技術で、薬剤を使わないため化学薬品によるリスクがなく、廃棄処理も簡便です。
また、細かい部分や複雑な形状の木部再生にも対応可能です。木材の劣化原因には日光、湿気、気温の変化などがあり、汚れやシミ、カビが劣化を促進します。エアー鉋は、木材の表面を均一に再生し、美しさと耐久性を回復させることで、木材の長寿命化を図ります。
和歌山市の伊太祁曽神社などの事例では、80年分の汚れを除去し、元の美しい木肌が蘇りました。岡本建装株式会社が施工を担当し、地域の文化財や住宅の木部再生に貢献しています。エアー鉋は、環境に優しく、効率的に木材を蘇らせるため、多くの場所で注目されています。
